高血圧
高血圧とは
高血圧は、血管に常に強い圧力がかかっている状態です。「サイレントキラー」と呼ばれるように、多くの場合は自覚症状がないまま進行し、心筋梗塞や脳卒中などの重大な合併症を引き起こすリスクを高めます。
日本では約4,300万人が高血圧と推定されており、成人の約3人に1人が該当する生活習慣病です。適切な診断と治療により、心血管疾患のリスクを大幅に減らすことが可能です。
重要なポイント
- 心血管疾患の最大の危険因子
- 早期発見・治療で予防可能
- 生活習慣の改善が治療の基本
- 家庭血圧測定が重要
診断基準
高血圧治療ガイドライン2025(JSH2025)に基づく診断基準は以下の通りです。
診察室血圧
140/90 mmHg以上
収縮期血圧140mmHg以上 または拡張期血圧90mmHg以上
家庭血圧
135/85 mmHg以上
収縮期血圧135mmHg以上 または拡張期血圧85mmHg以上
血圧分類(JSH2025)
|
分類 |
収縮期血圧(mmHg) |
拡張期血圧(mmHg) |
|---|---|---|
|
正常血圧 |
<120 |
<80 |
|
正常高値血圧 |
120-129 |
<80 |
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高値血圧 |
130-139 |
80-89 |
|
Ⅰ度高血圧 |
140-159 |
90-99 |
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Ⅱ度高血圧 |
160-179 |
100-109 |
|
Ⅲ度高血圧 |
≥180 |
≥110 |
症状について
「サイレントキラー」の理由
高血圧は初期段階ではほとんど自覚症状がありません。そのため気付かないうちに動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な合併症を引き起こすことから「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれています。
血圧上昇時に現れる可能性のある症状
🤕頭痛
後頭部を中心とした重い頭痛。朝の起床時に特に感じやすい
😵💫めまい・ふらつき
立ちくらみやふわふわした感覚、バランス感覚が悪くなる
💓動悸・胸の圧迫感
心臓がドキドキする、胸が苦しい、圧迫されるような感覚
😮💨息切れ
軽い運動でも息が上がる、階段を上るのがつらい
😴全身のだるさ
疲れやすい、体が重い、やる気が出ない
👁️視野の変化
目がかすむ、視野が狭くなる、光が眩しく感じる
緊急受診が必要な症状
血圧値
- 収縮期血圧180mmHg以上
- 拡張期血圧110mmHg以上
合併症
高血圧は「心血管疾患の最大の危険因子」とされており、適切な治療を行わないと以下のような重篤な合併症を引き起こします。
❤️心臓への影響
・心筋梗塞:冠動脈の動脈硬化により心筋への血流が遮断される
・心不全:心臓のポンプ機能が低下し全身への血液供給が不十分になる
🧠脳への影響
・脳梗塞:脳血管の動脈硬化により脳組織への血流が遮断される
・一過性脳虚血発作:一時的な脳血流の減少により神経症状が現れる
・血管性認知症:小さな脳梗塞の積み重ねにより認知機能が低下する
🫘腎臓への影響
・慢性腎臓病(CKD):腎機能が徐々に低下し老廃物の排泄が困難になる
👁️眼への影響
・高血圧性網膜症:網膜血管の変化により視力低下や失明のリスク
治療方法
高血圧治療の目標は、単に血圧を下げることではなく、心血管疾患の発症を予防することです。生活習慣の改善を基本とし、必要に応じて薬物療法を併用します。
降圧目標(JSH2025)全年齢で統一:
診察室血圧 130/80 mmHg未満
家庭血圧 125/75 mmHg未満
生活習慣の改善
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項目 |
内容 |
|---|---|
|
🍽️ 食事療法 |
減塩(6g/日未満)、野菜・果物の摂取、魚類の摂取、DASH食の推奨 |
|
🏃♂️ 運動療法 |
有酸素運動週3回以上、30分以上の継続、軽度の筋力トレーニング |
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⚖️ 体重管理 |
BMI 25未満を目標、内臓脂肪の減少、適正体重の維持 |
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🚭 禁煙 |
能動喫煙の禁止、受動喫煙の回避、禁煙外来の活用 |
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🍺 節酒 |
男性:日本酒1合/日以下、女性:日本酒0.5合/日以下、休肝日の設定 |
|
🧘♀️ ストレス管理 |
十分な睡眠時間、リラクセーション、趣味活動の充実 |
薬物療法
生活習慣の改善でも血圧が目標値に達しない場合、または高リスク患者では、薬物療法を併用します。
第一選択薬
- カルシウム拮抗薬:アムロジピン、ニフェジピンなど
- ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)、ACE阻害薬:アジルサルタン、テルミサルタン、エナラプリルなど
併用療法・追加薬
- ARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬):サクビトリルバルサルタン
- 利尿薬:ヒドロクロロチアジド、インダパミドなど
- MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬):エサキセレノン、スピロノラクトンなど
- β遮断薬:ビソプロロール、カルベジロールなど
- α遮断薬:ドキサゾシンなど
- 血管拡張薬:ヒドララジンなど
治療の注意点
- 薬の効果は徐々に現れます
- 定期的な受診と検査が必要
- 自己判断での服薬中止は危険
- 血圧手帳による記録が重要
- 副作用の早期発見と対応
- 個別化された治療方針
当院での治療方針
👨⚕️循環器内科専門医による包括的治療
総合内科専門医・循環器内科専門医として、心血管疾患の総合的な予防を目指した治療を提供
📊詳細な心血管リスク評価
心エコー検査、頸動脈エコー、血管脈波検査(PWV/ABI)、24時間ホルター心電図、運動負荷試験による総合評価
🎯個別化された治療戦略
心血管リスクに基づく薬剤選択、生活習慣改善の具体的指導
🏥心臓リハビリテーション
医学的に安全で効果的な運動療法プログラム、個別運動処方の作成、運動時の心電図モニタリング
📅継続的なフォローアップ体制
定期的な血圧測定・血液検査・心電図検査、適切な受診間隔での継続的な管理
ご相談・受診について
こんな症状があれば受診を
- 健診で高血圧を指摘された
- 家庭血圧が135/85mmHg以上
- 頭痛・めまいが続く
- 動悸・息切れがある
- 家族に高血圧の方がいる
- 生活習慣の改善方法を知りたい
お気軽にご相談ください
高血圧は適切な治療により、心血管疾患を予防できる疾患です。
早期からの適切な管理で、健康的な生活を維持しましょう。
*本資料は医療情報の提供を目的としており、診断や治療の代替となるものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
