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心不全

心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなる状態です。早期発見・適切な治療により、症状の改善と生活の質の向上が期待できます。

心不全とは

心不全とは、心臓の構造や機能に異常が生じ、心臓が血液を全身に送るポンプとしての働きが不十分になった状態です。

その結果、以下のような問題が起こります:

  • うっ血:血液が心臓に戻りにくくなり、肺や全身に水分が溜まる
  • 心拍出量低下:全身の臓器に十分な血液が届かない
  • 症状出現:息切れ、むくみ、疲れやすさなどが現れる

2025年最新ガイドライン定義

「心臓の構造・機能的な異常により、うっ血や心内圧上昇、心拍出量低下や組織低灌流をきたし、呼吸困難、浮腫、倦怠感などの症状や運動耐容能低下を呈する症候群」

日本循環器学会・日本心不全学会合同ガイドライン2025年改訂版より

心不全の新しい分類

2025年ガイドラインでは、従来の「急性・慢性」という単純な分類から、より詳細な進行ステージ分類に変更されました。

【進行ステージ分類】

【心機能による分類】

分類

左室駆出率

特徴

HFrEF

≤40%

心筋の収縮力が低下

HFmrEF

41-49%

中等度の機能低下

HFpEf

>50%

収縮機能は保たれている

心不全の症状

主な症状

  • 息切れ・呼吸困難:階段昇降や歩行時の息切れ、就寝時の呼吸困難
  • 疲労感・倦怠感:少しの活動でも疲れやすい、全身のだるさ
  • 足のむくみ、体重増加:夕方の足のむくみ、週に2-3kgの体重増加

早期発見が重要:症状は徐々に進行することが多く、「年齢のせい」と見過ごされがちです。気になる症状があれば早めにご相談ください。

診断と検査

【重要な血液検査項目】

検査項目

意義

当院での対応

NT-proBNP

心臓から分泌されるホルモンで、心不全の診断に最も重要な検査

※迅速検査が可能です

トロポニン

心筋障害の指標。急性心筋梗塞などの診断に重要

※迅速検査が可能です

【画像検査】

心エコー検査:心臓の動き、サイズの評価、心臓弁膜症の有無など

胸部レントゲン:心拡大の確認、肺うっ血・胸水の有無

心電図:不整脈の検出心筋梗塞の既往など

心肺運動負荷試験(CPX):運動耐容能の評価、息切れの原因精査

治療法

心不全に用いる各薬剤の効果

薬剤

主な効果

期待される改善

ACE阻害薬・ARB・ARNI

心臓の後負荷軽減、血管拡張

血圧低下、生命予後改善

β遮断薬

心拍数調整、酸素消費量減少

突然死予防

MRA

心筋リモデリング抑制

不整脈予防、カリウム保持

SGLT2阻害薬

心不全進行抑制

入院減少、腎保護、心血管死抑制

心臓リハビリテーション

全ての心不全患者様が心臓リハビリテーションの対象(保険適応の基準あり)

  • 心機能の分類に関係なく適応
  • 高齢者・フレイル患者様も対象
  • 重症例でも安定すれば開始可能

心臓リハビリの効果とプログラム

効果

  • 生活の質向上
  • 運動耐容能の改善
  • 日常生活動作の向上

プログラム

  • 運動療法:個別の体力に応じた有酸素運動とレジスタンストレーニング

心不全の予防

1.危険因子の管理

危険因子

管理目標

高血圧の管理

血圧140/90mmHg未満を目標とした治療

糖尿病の管理

HbA1c 7.0%未満を目標とした血糖管理

脂質異常症の管理

LDLコレステロールの適切な管理

2.生活習慣の改善

・適度な運動

週150分以上の中等度有酸素運動、ウォーキング、水泳、サイクリングなど

・食事療法

塩分制限(6g/日未満)、適正体重の維持

野菜・果物を多く、飽和脂肪酸を控える

まずはお気軽にご相談ください
早期の診断と適切な治療により、症状の改善と生活の質向上が期待できます

*本資料は医療情報の提供を目的としており、診断や治療の代替となるものではありません。
症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

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