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婦人科

🌸 婦人科がんの腫瘍循環器外来

婦人科がん治療と心臓のケア

婦人科がん(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん)は、比較的若い世代から発症する可能性があり、治療後の人生(サバイバーシップ)が長いことが特徴です。治療法は手術、放射線治療、化学療法に加え、近年は分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬なども導入され、治療成績は向上しています。

しかし、治療に使われる薬剤の中には、心臓や血管に影響を与えるものがあります。特に卵巣がんや子宮体がんの化学療法で使われる「プラチナ製剤」による血栓症や、「パクリタキセル」による不整脈などは、適切な管理が必要です。

当院では、循環器専門医がん薬物療法専門医の資格を持つ院長が、婦人科の主治医と連携し、女性特有のライフステージや悩みに寄り添いながら、心臓と血管を守るサポートを行います。

婦人科がん治療の特徴

子宮頸がんは放射線治療と化学療法の併用が効果的です。子宮体がんや卵巣がんでは、手術後に再発予防のための化学療法(抗がん剤)が行われることが一般的です。特に卵巣がんでは、複数の抗がん剤(パクリタキセル+カルボプラチン療法など)に加え、維持療法としてPARP阻害薬や血管新生阻害薬が長期間使用されます。

婦人科がん治療における心毒性リスク

治療法によって、注意すべき心血管リスクは異なります。

薬剤・治療法

代表的な薬剤/治療

心毒性のリスク

プラチナ製剤

シスプラチン
カルボプラチン

血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)、高血圧、腎障害による心負荷

タキサン系

パクリタキセル
ドセタキセル

不整脈(徐脈、心房細動など)

VEGF阻害薬

ベバシズマブ(アバスチン)

高血圧、血栓塞栓症、心不全

PARP阻害薬

オラパリブ(リムパーザ)
ニラパリブ(ゼジューラ)

高血圧、貧血による心不全

免疫チェックポイント阻害薬

ペムブロリズマブ(キイトルーダ)
デュルバルマブ(イミフィンジ)

心筋炎(稀ですが致死的)、不整脈

婦人科がん自体

特に卵巣がん、明細胞がん

血栓塞栓症のリスクが高い
骨盤内の大きな腫瘍が静脈を圧迫し、血栓ができやすくなります。

プラチナ製剤と血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)

⚠️ 足のむくみや急な息切れに注意してください
婦人科がん治療の要となるシスプラチンやカルボプラチンは、血液を固まりやすくする作用があります。

特に卵巣がんは、膵臓がんに次いで血栓(血の塊)ができやすいがんと言われています。骨盤内の腫瘍が足からの静脈を圧迫することに加え、抗がん剤の影響でリスクがさらに高まります。

足の静脈にできた血栓が肺に飛ぶと「肺塞栓症」となり、命に関わることがあります。片足だけ急にむくんだり、痛んだりする場合や、突然息苦しくなった場合は、すぐに医師に相談してください。

パクリタキセルと不整脈

卵巣がんや子宮体がんの標準治療薬であるパクリタキセルは、点滴中に一過性の不整脈(徐脈:脈が遅くなることや、心房細動など)を起こすことがあります。

多くの場合、治療終了とともに改善しますが、元々心臓病がある方や高齢の方では注意が必要です。当院では、治療前に心電図でリスクを評価し、必要に応じてホルター心電図などでモニタリングを行います。

ベバシズマブ(アバスチン)の高血圧・血栓塞栓症

進行・再発がん治療で使用されるベバシズマブは、20〜30%の患者さんに高血圧を引き起こします。血圧が高い状態が続くと、心不全や脳出血のリスクになるだけでなく、がん治療の中断につながることもあります。治療中は家庭での血圧測定を習慣にし、早めに降圧薬でコントロールすることが大切です。また、血栓リスクを上昇することも知られており、足の浮腫みや息切れが出現した際には精査が必要です。

当院での腫瘍循環器診療の流れ

  1. 治療前評価

治療開始前に、心電図、心エコー、血液検査を行い、血栓症のリスクや心臓の機能を評価します。

  1. 治療中のモニタリング

パクリタキセル使用中の不整脈チェック、ベバシズマブ使用中の血圧管理、そして定期的な血栓症のスクリーニング(Dダイマー測定や下肢静脈エコー)を行います。

  1. 腫瘍循環器リハビリテーション

術後の体力低下や、リンパ浮腫の予防・改善に役立つ、無理のない運動療法を提案します。

  1. 治療後のフォローアップ

治療終了後も、抗がん剤の影響が残っていないか、長期的な心血管リスクを管理します。

心毒性が起きた時の対応

  • 血栓症: 抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を使用します。手術直後などで出血リスクがある場合は、慎重に薬剤を選択します。
  • 不整脈: 心電図で評価を行い、専門的な治療を行います。
  • 高血圧: がん治療薬の効果を下げない降圧薬を使用し、目標血圧までコントロールします。

受診をおすすめする方

  • ✅ プラチナ製剤やパクリタキセル(タキソール)を使用中の方
  • ✅ ベバシズマブ(アバスチン)やPARP阻害薬を使用中の方
  • ✅ 治療中に動悸、脈の乱れ、ふらつきを感じた方
  • ✅ 血圧が高くなってきた方
  • ✅ 足のむくみや痛みがあり、血栓症が心配な方
  • ✅ 心臓病の持病があり、がん治療への影響が心配な方

当院の強み

当院長は、心臓の専門家(循環器専門医)であると同時に、がん治療の専門家(がん薬物療法専門医)でもあります。

  • 専門的な不整脈管理: パクリタキセル等による不整脈を専門的に評価し、安全な投与をサポートします。
  • 血栓症の早期発見: 婦人科がんで多い血栓症のリスクを早期に見つけ、重症化(肺塞栓症)を防ぎます。
  • 女性に配慮した診療: 女性特有のライフステージや悩みに寄り添い、安心して治療を受けられる環境を提供します。
  • 婦人科との連携: 地域の基幹病院の婦人科と密に連携し、がん治療を中断させないためのサポートを行います。

💡 患者さんへのメッセージ

婦人科がんの治療は、手術や抗がん剤など体への負担が大きいものですが、治療技術の進歩により多くの患者さんが元気に社会復帰されています。

治療中の「動悸」や「足のむくみ」などのサインを見逃さず、適切に対処することで、心臓や血管のトラブルは防ぐことができます。女性の心と体を守るパートナーとして、私たちが全力でサポートします。

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