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血液がん(リンパ腫・白血病)

 血液がん(リンパ腫・白血病)の腫瘍循環器外来

血液がん治療と心臓のケア

悪性リンパ腫や白血病などの「血液がん」は、近年の治療法の進歩により、多くの患者さんが「治癒」を目指せる病気となりました。 しかし、その治療には強力な化学療法(抗がん剤)や放射線治療、造血幹細胞移植が必要となることが多く、これらの治療が心臓に負担をかけ、後遺症(心毒性)を残すリスクがあります。

 

当院では、循環器専門医がん薬物療法専門医の両方の資格を持つ院長が、血液がんの治療前から治療中、そして治療後の長期フォローアップまで、あなたの心臓を守りながら、がん治療を安全に完遂できるようサポートします。

血液がんとは

血液がんとは、血液を作る細胞ががん化する病気の総称です。代表的なものに、リンパ系組織から発生する「悪性リンパ腫」、血液細胞ががん化して増殖する「白血病」、形質細胞ががん化する「多発性骨髄腫」などがあります。

これらの治療には、複数の抗がん剤を組み合わせた強力な化学療法が中心となりますが、特にアントラサイクリン系薬剤と呼ばれる種類の抗がん剤は、高い治療効果を持つ一方で、心臓への影響に注意が必要です。

 

血液がん治療と心臓への影響(心毒性)

使用する薬剤や治療法によって、心臓へのリスクは異なります。当院では、患者さん一人ひとりの治療内容に合わせて、適切なモニタリングを行います。

主な高リスク抗がん剤と心毒性

薬剤分類

代表的な薬剤

心毒性のリスク

アントラサイクリン系

ドキソルビシン(アドリアマイシン)
ダウノルビシン

用量依存性の心不全
心機能(左室駆出率)の低下

分子標的薬

リツキシマブ
トラスツズマブ

心不全、不整脈

チロシンキナーゼ阻害薬

イマチニブ、ダサチニブ
ポナチニブ

QT延長(致死的不整脈リスク)、心不全、血管イベント

免疫チェックポイント阻害薬

ニボルマブ、ペムブロリズマブ

劇症型心筋炎(稀ですが重篤になる可能性があります)

その他の治療によるリスク

  • 放射線治療(縦隔照射):
    ホジキンリンパ腫などで胸部(縦隔)に放射線を照射した場合、数年から数十年後に、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)、弁膜症、心膜炎などのリスクが高まることが知られています。
  • 造血幹細胞移植:
    移植前に行われる大量化学療法や全身放射線照射(TBI)は、心臓に大きな負担をかけます。移植後の心不全や不整脈のリスク管理が重要です。

血液がん特有の心血管リスク

薬剤の直接的な影響だけでなく、血液がんの病態そのものや治療環境も心臓血管系に影響を与えます。

  • 血栓症(深部静脈血栓症・肺塞栓症):


特に悪性リンパ腫の治療中や、中心静脈カテーテルを留置している場合、血管内で血の塊(血栓)ができやすくなります。

  • 不整脈:


強力な化学療法の最中や、腫瘍崩壊症候群(がん細胞が急激に壊れて電解質異常を起こす状態)に伴って、危険な不整脈が起こることがあります。

  • 感染症/GVHDに伴う心筋炎:


白血球が減少している時期の感染症が、心臓に波及して心筋炎を起こすことがあります。

当院での腫瘍循環器診療の流れ

  1. 治療前評価(ベースライン評価)

がん治療が始まる前に、現在の心臓の状態を正確に把握します。

  • 心エコー図検査:心臓の動き(左室駆出率:LVEF)や弁の状態を確認します。
  • 心電図・血液検査(BNPなど):不整脈や心不全の兆候がないか調べます。
  • リスク因子評価:高血圧、糖尿病、脂質異常症などの有無を確認し、必要なら治療を開始します。
  1. 治療中のモニタリング

抗がん剤治療中は、定期的に心臓のチェックを行い、変化を早期に発見します。

  • アントラサイクリン累積投与量の管理:心毒性が現れやすい投与量に近づいていないか監視します。
  • GLSGlobal Longitudinal Strain)解析:通常の心エコーでは分からない微細な心機能低下を早期発見します。
  • 症状の確認:息切れ、動悸、足のむくみなどの自覚症状をチェックします。
  1. 腫瘍循環器リハビリテーション

  • 治療中・治療後の体力低下を防ぎ、回復を早めるために、運動療法を行います。CPX(心肺運動負荷試験)で安全な運動強度を決定し、無理なく続けられる運動メニューを提案します。
  • 化学療法中でもリハビリ処方を用いた適度な運動は、安全に行えることが分かっています。
  1. 治療後の長期フォローアップ

血液がんを克服された方(がんサバイバー)の心臓を長期的に守ります。

  • 晩期心毒性の監視:治療終了から数年~数十年経ってから現れる心不全や冠動脈疾患を早期発見します。
  • 生活習慣病の管理:高血圧や脂質異常症を適切に管理し、心臓への負担を減らします。

心毒性が起きた時の対応

もし心機能の低下や心不全の兆候が見られた場合でも、すぐにがん治療を中止するわけではありません。循環器専門医として、適切な介入を行い、可能な限り「がん治療の継続」を目指します。

  • 心保護薬の導入:ACE阻害薬やβ遮断薬などを使用し、心臓を保護して機能を回復させます。
  • 抗凝固療法:血栓症のリスクが高い場合、血液をサラサラにする薬を使用します。
  • 血液内科主治医との連携:心臓の状態を正確に伝え、治療スケジュールの調整や薬剤の変更が必要かを協議します。

💡 がん治療と心臓治療の両立

私たちの目標は、単に心臓を守ることだけではなく、「がん治療を安全に完遂し、治癒を目指すこと」です。心臓に不安があるからといって、がん治療を諦める必要はありません。専門医がしっかりとサポートします。

受診をおすすめする方

  • ✅ 悪性リンパ腫や白血病の診断を受け、これから治療を始める方
  • ✅ アントラサイクリン系抗がん剤(アドリアマイシン等)を使用予定・使用中の方
  • ✅ 胸部(縦隔)への放射線治療を受けた、または受ける予定の方
  • ✅ 造血幹細胞移植を予定している方
  • ✅ 治療中に息切れ、動悸、足のむくみ、急な体重増加を感じた方
  • ✅ 過去に血液がんの治療を受けたがんサバイバーの方(晩期合併症のチェック)
  • ✅ 高血圧や糖尿病などの持病があり、がん治療への影響が心配な方

当院の強み

当院の院長は、「循環器専門医」「がん薬物療法専門医」の両方の資格を持っています。

血液がん治療における薬剤の特性や副作用、治療スケジュールの重要性を深く理解した上で、循環器内科医としての専門的な心臓管理を提供できます。地域の基幹病院や大学病院の血液内科とも密に連携し、患者さんが安心して治療に専念できる環境を整えます。

💡 患者さんへのメッセージ

血液がん(リンパ腫・白血病)の治療は大きく進歩し、多くの方が完治を目指せる時代になりました。しかし、その強力な治療は、時に心臓という「エンジン」に負担をかけることがあります。

当院では、循環器専門医・がん薬物療法専門医として、がん治療を安全に完遂できるよう、あなたの心臓を全力でサポートします。治療前の不安から、治療中の体調管理、そして治療後の長い人生まで、あなたの心臓を守りながら、がんとの闘いを支え続けます。

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